熱とエネルギー |
昔、人々は熱を物質のように扱っていました。 化学において酸素による燃焼の理論や質量保存の法則など重要な発見をしたフランスのラボアジェも熱に関しては「熱素(カロリック)」を質量が0の元素であると考えています。 このように熱を物質のように扱うことの不自然さをきちんと指摘したのはバイエルン軍の幕僚長をしていたランフォード伯爵(本名ベンジャミントンプソン、アメリカ生まれ)でした。 1800年ごろランフォードは大砲の中繰り作業を行うとき、中繰り作業を続ける限り熱がいくらでも発生することに注目して、ミュンヘンの造兵廠で先を丸めたドリルを使って水中で中繰り作業する実験を行い、2〜3時間で水槽の水が沸騰してしまうことを示しました。 もし、熱が「カロリック」のような物質であるとすると、このとき「カロリック」がどこから供給されたのかを示さなくてはなりません。 でも、それを説明することはできませんでした。 この実験により、ランフォードは大砲の中繰り作業そのもの(仕事)が熱になると考えたのです。 この仕事と熱の関係を量的にきちんと求めたのはイギリスのジュールです。 ジュールは裕福な醸造業の家に生まれ、科学実験を趣味にしていました。 1845年ごろ、仕事と熱の関係を求める実験をいろいろな方法で行い、一定の量の仕事がいつも一定の量の熱に相当することを確かめました。 直接的で有名なのはおもりが重力によって降りるとき、羽根車を回すようにしておき、その羽根車で水をかき混ぜて温度の上昇を調べる実験です。 何種類もの実験を何度もくり返し、ジュールは今の単位を使うと、1gの水の温度を1℃上げるのに4.2Jの仕事がいつも必要であることを確認しています。(もちろん、エネルギーの単位が「ジュール」なのは後に彼の名前を記念して決められたもので、ジュール自身が自分の名前を単位にしたのではありません。) ジュールによって確認されたこの関係は今でも使われています。 つまり、 4.2Jの仕事は水1gの温度を1K上昇させる熱に相当する わけです。 このように、現在では、熱は仕事と同じようにエネルギーの変化(移動)の形態の1つと考えられています。 エネルギーや熱量の単位は日本でも計量法でジュールと定められていますが、日本では食品の持つエネルギーの単位としてキロカロリー(単位記号kcal)が使われていました。 そのため、一般に「低カロリー」などの言いまわしが使われています。 食品のエネルギーの単位にもジュールを使っている国ではこれに相当する言いまわしとして「low joule」などが使われています。 |
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