95年度 第8回物理研究委員会 まとめ


日時 1995.12.13(水)
参加者20名


第一部 自然科学 稀覯本閲覧会


  1. 会  場 近畿大学附属中央図書館 5階 教職員閲覧室
         東大阪市小若江3ー4ー1 TEL06-721-2332

  2. 閲覧時間 午後2時半〜4時

  3. 閲覧書目
    本研究会の希望に基づいて、下記の11点の初版本について閲覧させていただいた。 今回に限りということで、各自で手で触れページをくることが許された。購入価格2000万〜5000万円、特にコペルニクスの「天体の回転について」は、8000万円という稀覯本である。
    1. 77 ニュートン 「自然哲学の数学的原理」(プリンキピア) 1687年
    2. 76 マックスウェル 「電気磁気学」 オックスフォード 1873年
    3. 63 アインシュタイン 「一般相対性理論の基礎」 1916年
    4. 60 コペルニクス 「天体の回転について」 1543年
    5. 69 ガリレオ ガリレイ 「新科学対話」 ライデン 1638年
    6. 62 ダーウィン 「種の起源」 ロンドン 1859年
    7. 74 ケプラー 「新天文学」 ハイデルベルグ 1609年
    8. 66 ファラデー 「電気実験研究」 ロンドン 1832〜43年
    9. 68 ガリレオ ガリレイ 「二つの宇宙体系についての対話」1632年
    10. 61.キュリー マリー 「放射能に関する論考」 パリ 1910年
    11. 65.フランクリン 「電気に関する実験と観察」ロンドン 1751年

     以上の他、グーテンベルク聖書(1455年)、クロッペンブルグ「日本地図」(1630年)、ユークリッド「幾何学原論」(1482年)、伊勢物語 写本(1661年)、フランダース「聖務日課書」(1450年)、シェイク スピア「喜劇、史劇、そして悲劇」(1685年)、ポー「マラルメ訳 ポー 詩集」(1888年)、ヒットラー「わが闘争」(1925年)、ナポレオン「エジプト誌」(1809年)についても閲覧させていただいた。
     グーテンベルク聖書は、活版印刷の発明者グーテンベルク自らが印刷した42行からなるもので四二行聖書といわれる。 また、「わが闘争」は、ヒットラー自身の蔵書だったものである。 この悪名高き著作物の中に、ロシア侵攻の際、ロシア人に数学、物理学を教育してはならぬ。 これらをものにされては、支配できなくなると公言している。 逆に、自然科学教育は、如何に万人のものでなければならないかを示しているといえよう。


第二部 第8回物理研究委員会


会 場 近畿大学 本館 4F 第4会議室

時 間 午後4時〜5時半

案 件

  1. 中央図書館事務部次長 溝邉 典紀氏解説
     本日は、寒い中ようこそお越し頂いた。 今回は、特に、附属高校の橋本先生からの依頼で、見ていただく機会をもった。 この大学図書館は、2階から7階の縦型図書館である。本年、創立70年を迎えた。 稀覯本については、前法学部長の創意で昭和45年から蒐集に努めている。 ヨーロッパ各地に出向いたり、丸善、紀ノ国屋書店と提携したりして、1400年代ものからすでに蔵書数2000冊に達した。 稀覯本書庫は、エアコンで24時間、温度と湿度の管理を行っている。

  2. 研究会謝辞 中山 寛二(高槻北)  本日は、榎原会長、村岡副会長とも校長会のため、あいにく出られなかったが、貴図書館のご厚意に御礼申し上げるようことづかっている。
    ガリレイやニュートンが手にしたかも知れない当時のしのばれる原典を目の当たりにすることができ感激した。 生徒達にこれらの自然科学書について話すことも多いので、今日の閲覧の貴重な機会は、より生きた内容の授業にできるものと感謝する。

  3. 研究委員の研鑽発表
    1. 生徒の感想 山田 善春氏(市立工芸)
       2年生物理TBの2学期末における生徒による授業評価について
      代表的な6人分の感想文を紹介された。話がおもしろく楽しい。 実験など実際に目に見るとか、手に触れるとか体験できるものが多いので説得力がある。 電気パンはこわかったけどおいしかった。 ただ光っているとしか見えない電球でも小さな活動があり、働いているということを知って不思議な気分だ。 山田氏は、自分自身で納得のいく教材を追求されている。 それらによる工芸高校ならではの体得させ、楽しくてわかりやすい授業展開とともに、先生ご自身がとくにもっておられる物理の世界へのロマンが、生徒諸君の心をかきたてているのではないかと日頃から感心せざるを得ない。

    2. 阪神大震災と防災教育 酒井 久一氏(西浦)
       高等学校環境教育教材集「異常気象と環境破壊」に続く第2弾である。 酒井氏は、生徒自身で探求活動が取り組める教材開発に勢力を投入されている。 その内容と質の高さには定評がある。 実際に活用してみるとトップ・ダウン方式と氏がいわれるように、科学技術の最先端に生徒諸君は、自らの体験として触れることができる。

  4. 各部会活動報告
    1. マイコン部会 神川 定久氏(寝屋川)
      11/22 パソコン通信とインターネットとの接続について、神川氏の体験より
      1/10 市立天王寺商業の2Fコンピュータ室の画像処理室の体験。 その他、教科書添付のFD等。
      2/14の第10回物理研究委員会でマイコン部によるウィンドウズ95及びパソコン通信の実際について紹介してほしい要望が出され、市立天王寺高校で開催する方向で検討

    2. 指導法部会 中村 泰孝氏(四条畷)

    3. 実験部会 沢登 啓氏(吹田東)
      12/2 手引書の原稿の最終チェックを行った。 手書き分をすべてワープロ化した。 藤田氏の尽力で数日前にようやく完成できた。600部印刷し、1月中に会員校へ化学U実験書とともに送付される。 高槻南高校での研究集会と沢登氏のホバークラフトについて意見交換した。
      次回は、2/3に府立大手前高校で予定

    4. 教育課程部会 筒井 和幸氏(東住吉工業)
      21世紀会とともに活動している。1/24に部会をもち、提言の中に物理委員会の意見を反映させたい。

    5. 21世紀の理科教育を考える会 山田 善春氏(市立工芸)
      本研究会の研究集会でのアンケート結果報告を15期中教審へ送付した。 さらに、1/31の21世紀会で最終決定して、本部の菊池 正仁都立城南高校校長へ大阪の提言として送りたい。

  5. 標準テスト委員会より 平野 裕一氏(豊中) 12/15が申し込み期限となっているので、採択のアピールをお願いしたい。 12/22の幹事会で見本本が提示できる。

  6. 日本物理教育学会近畿支部より 三木 久巳氏(貝塚南)
    12/23,24の科学の祭典に生徒の参加を呼びかけてほしい。
    1/27に奈良女子大学で研鑽会、松尾教授による最新の固体実験の講演

  7. 全国理事会等報告 中山 寛二(高槻北)
    1. 次期「学習指導要領」に向けての日本理化学協会への意見表明について 都立城南高校 菊池 正仁校長が本部のまとめ役に就任
      本研究会「21世紀の理科教育を考える会」の提言も榎原会長より菊池氏へ送ることになる。
    2. 東京大会について テーマ 夢、憧れ、感動 −理科教育の原点を探る−
      7/31(水) 全国理事会,特別講演,研究代表者会議
      8/1(木) 総会、記念講演、全体協議、教育懇談会、
      8/2(金) 研究発表、研究協議
      創造企画部のイベントとして、大阪〜東京を結んでのテレビ会議システム実演とジャンボトロン画像実演の提案がある。
      2/4(日)の研究代表者会議(於都立城南高校)で、研究協議の意見提示の都道府県割当がされる。 本研究会としてどれに臨むか、各部会での検討を依頼したところ、次の通りの申し出があった。
      • 第1分科会 夢と感動を与える物理の授業 山田氏
      • 第6分科会 理科教育における環境教育のありかた 酒井氏,明仁氏
      • 第7分科会 これからの理科教育 筒井氏
      • 第9分科会 理科教育と大学入試 1 平野氏
      • なお、第5分科会 理科教育におけるコンピュータ等のあり方については、マイコン部会で検討される。
    3. 平成8年度 大学入試センター試験に関するアンケート
      1/17(水) 教育大平野で意見交換
      事前に、アンケート用紙に各自で記入した上で、研究委員会に持参

  8. 児玉 博三氏(市立天王寺商業)より
    大阪大学後藤教授から3/27にプラズマ・核融合学会として、高校生対象の公開講座を開催する計画の申し出があった。 東大、筑波大、阪大等の先生方による講演やVTRの企画があり、会場は、千里の阪急ホテルで200名の規模のようである。 研究委員の所属校で参加を呼びかけるのではどうか。

    講座テーマは「未来を開くプラズマ−ここまで来た核融合−」

    日時は1996/3/27 午後1:00〜5:00

    場所は千里阪急ホテル 仙寿の間で参加費は無料

    内容は
    講演
    • 多彩なプラズマの性質           東京大学工学部教授 桂井 誠
    • 磁場を用いた核融合制御     筑波大プラズマ研究センター長 玉野 輝男
    • レーザーによる核融合  大阪大学レーザー核融合研究センター長 三間 圀興
    ビデオ鑑賞とディスカッション
    • 太陽の火−核融合エネルギーを求めて    大阪大学工学部教授 後藤 誠一

    申込は氏名、住所、連絡先(電話・FAX番号)を書いて以下に手紙かFAXで

    郵便番号460 名古屋市中区錦 2-20-29 東昭ビル4階
    社団法人 プラズマ・核融合学会
    TEL 052-231-4535
    FAX 052-231-7557

    申込締め切りは1996/2/20 定員になり次第締め切り

    大阪での問い合わせ先は
    後藤誠一(大阪大学工学部教授)TEL 06-879-7913 FAX 06-879-7916
    杉本敏司(大阪大学工学部助手)TEL 06-879-7915 FAX 06-879-7916
    (e-mail: sugimoto@ppl.eng.osaka-u.ac.jp)
     
    豊中、北野、寝屋川の他参加希望校は、中山まで

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