95年度 第6回物理研究委員会 まとめ
日時 1995.10.18(水)
会場 大阪市立工芸高等学校 1号館 1階 第T理科室
大阪市阿倍野区文の里町1-7-2 TEL 06-623-0485,FAX 623-8419
参加者30名
- 会場校代表 千賀 保和教頭挨拶
工業高校としての課題は、生徒の興味・関心を呼び起こすとともに創造の喜びを体感させ、その感激を知る教育目標の達成にある。
そのためにも、施設・設備面でのバックアップにも力を入れたいと考えている。
理産振法の改訂で走査型の電子顕微鏡も項目に入り、その可能性が広がってきている。
- 研究会代表 杉岡俊男藤井寺教頭挨拶
山田先生をはじめ、工芸高校の素晴らしい教育の伝統と実践に敬意を表している。
本研究会の活動にもご理解とご支援をしていただき感謝する。
- 各研究委員の発表
- VTR紹介 山田 善春氏(市立工芸)
- 民芸教材アラカルト 山田 善春氏(市立工芸)
大型のだるまおとしによる台車上での慣性の法則の実証,こまに乗せられた小さなこまの兎が亀を回転しながら追い抜いていく慣性モーメントの演示,天気や運勢のうらないこま等生徒にとって楽しい民芸おもちゃについて紹介された。
- 近畿大学中央図書館 稀覯書閲覧について 橋本 修一氏(近大附)
本研究委員会の希望に基づき、下記の原書について閲覧できるよう会長名の申請書を提出し受理されている。
当日は、2時半より、中央図書館で各自で閲覧していただき、4時から研究会を開催し、最初に司書の方による稀覯書蒐集についての説明をお願いしたいと考えている。
- ニュートン 「自然哲学の数学的原理」(プリンキピア) 1687年
- マックスウェル 「電気磁気学」 オックスフォード 1873年
- アインシュタイン 「一般相対性理論の基礎」 1916年
- コペルニクス 「天体の回転について」 1543年
- ガリレオ ガリレイ 「新科学対話」 ライデン 1638年
- ダーウィン 「種の起源」 ロンドン 1859年
- ケプラー 「新天文学」 ハイデルベルグ 1609年
- ファラデー 「電気実験研究」 ロンドン 1832〜43年
- ガリレオ ガリレイ 「二つの宇宙体系についての対話」1632年
- キュリー マリー 「放射能に関する論考」 パリ 1910年
- フランクリン 「電気に関する実験と観察」ロンドン 1751年
- 各部会活動報告
- マイコン部会(神川氏 寝屋川)
Internetのホームページに本研究委員会のまとめを掲載する件について部会としては、異論は出なかった。
情報公開時代を迎え、広く研究会活動を提示し社会と交流をもつことは時代の流れである。
ただ、研究会では、発表の段階以前での意見提示もあるので、発題者の意向に基づいてまとめを作成したものをインターネットにのせることになった。
杉岡俊男氏(藤井寺)
来年度の東京大会では、天良和男氏(都立広尾高校)から、研究協議においてパソコン通信によるテレビ討論を計画したい旨の打診があった。
本研究会としても、ぜひ協力体制をとって、ネットワークを組みたいものだと考える。
- 指導法部会(中村氏 四条畷)
井上広文氏(教育大天王寺)より、自転車のホィールに厚さ0.5mmのゴム膜を張り、「重力場」を見せる演示用実験器具を披露していただいた。
穐山靖彦氏(西淀川)からは、1年での「総合理科」における物理の内容の授業展開の工夫について問題提起がなされた。
これは、新教育課程での重要な課題の1つである。
- 実験部会(沢登氏 吹田東)
ホバークラフトやコンデンサーについて、及び昨春できた手引書を500部の印刷費を計上して、化学Uの実験書とともに全会員校へ発送したい。 化学委員会の了解も得られた。(10/25)
- 教育課程部会(筒井氏 東住吉工業)
- 平成7年度研究集会(会場 府立高槻南高校)について
- 研究授業 14:20〜15:10
本管 正嗣氏 2年 仕事とエネルギー
徳富 信明氏 1年 非金属元素の単体と化合物
池田 昌子氏 2年 電気分解
- 研究発表,研究協議 15:30〜17:30
- 廃棄テレビの物理教材としての活用法 藤田 利之氏(牧野)
- 物理授業実践報告 平野 裕一氏(豊中)
重心の位置を求める探求活動について
本校で1学期に実施した実験及び指導法
- 高等学校環境教育のための教材開発 明仁 憲一氏(泉陽)
- 阪神大震災と防災教育 酒井 久一氏(西浦)
- 物理TA標準テストの試作について 宝多 卓男氏(長吉)
- 実態調査に基づく次期学習指導要領への提言 筒井 和幸氏(東住吉工)
- 21世紀の理科教育を考える会 山田 善春氏(市立工芸)
高校理科教育のあるべき姿について
- 指導助言者
岡部 久高氏 大阪府教育センター 理科第一室長
兵庫 将夫氏 〃 〃 指導主事
鈴木 直氏 大阪大学 基礎工学部教授
- 標準テスト委員会より 平野 裕一氏(豊中)
- 日本物理教育学会近畿支部より 三木 久巳氏(貝塚南)
- 21世紀の理科教育を考える会より 山田 善春氏(市立工芸)
シリーズ科学史講座
4:30〜
第2回 古代科学と近代科学を結ぶもの
アルキメデスからガリレイへ
講師 立命館大学 経営学部教授(技術開発論) 兵藤 友博氏
|
当時、ユークリッドやアルキメデスなど古代ギリシャ科学のすぐれたものが、タルターリアによってイタリアに受け継がれていた。
そして、ガリレイの科学的認識の手法は、1590年代における数学者オスティリォ・リッチとの出会いにその出発点を見いだすことができる。
例えば、新科学対話では、ヴェネツィア政府の要請により勤めた造船廠の顧問としての経験から機械学と地上運動とが数学で結び付けられているところに興味がもてる。
彼は、振り子の円弧運動から、アリストテレス流の原因論による自然科学認識を脱却し、アルキメデス流の力学的、幾何学的分析を取り入れたのである。
このように、古代科学と近代科学を結ぶものは、やはり数学による解析法であったといえる。
不可分としての点を無限個集めても線分にはならないとするアリストテレスの連続性の概念から、無限の不可分な実体と無限の不可分なすきまとからなる有限な連続体を定義したガリレイは、変化の変化という連続性の認識においてアリストテレスを飛躍できたのであった。
ここに、加速度の概念や科学的認識過程において仮説の導入がガリレイによって初めてなされ得たのである。
三木,檀上,上西の各氏から質問や意見が出された。
- アラビアでの科学の急速な衰退はなぜか。 三木氏
「「科学史において衰退の道への研究はない。土地の生産力の問題、社会制度の問題等推測はできるが、史実の積み上げができてはじめて解明されるといえる。
- 聖書の中には天動説に関して触れられていないのに、ガリレイの宗教裁判はどういう意味をもっていたのか。 檀上氏
「「プラトン、ティマイオス、アリストテレスの自然認識においては、神と天動説とは不可分の関係にあった。
村岡 輝一副会長謝辞