エネルギーの保存


 「エネルギー」という言葉を全く聞いたことがないという人はほとんどいないでしょう。 でも、エネルギーの基本的な性質に付いてきちんと考えたことがある人も少ないのではないでしょうか。 これからエネルギーについて学習するわけですが、「エネルギーとはどんなものか」については、気づいていないこともあるでしょう。 まず、最初に、幼稚園や小学校、中学校を通して学習してきた(はず)の内容について、振り返っておくことにしましょう。 次のいくつかの例を見てください。
  • 車が走る・・・エンジンが動く・・・ガソリンが燃える・・・原油からガソリンを分留する・・・原油を採掘・・・古代の動植物(プランクトンや海藻?)の死骸・・・古代の太陽光
  • 水力発電・・・ダムの水でタービンを回す・・・川がダムに水をためる・・・雨が降る・・・雲ができる・・・海や河川から水が蒸発する・・・太陽光
  • 原子力発電・・・核燃料の分離精製・・・ウランなどの鉱石の採掘・・・地球ができる・・・宇宙のチリ・・・過去の恒星の爆発など・・・過去の恒星の核融合反応

 これらの例はごく一部のようですが、例えば石炭や火力発電は車と同じですし、風力発電は水力発電と同様、地熱などの起源は原子力と同様、太陽電池やその他の農作物・畜産物・海産物なども現在の太陽光を利用しているわけです。 結果的に、我々は、過去や現在の太陽、あるいはさらに昔の恒星の活動で供給される「何か」を利用して生活していることになります。 これを我々は「エネルギー」と呼んでいるわけです。 我々の日常生活は、このエネルギーの形を変換したり、エネルギーをやり取りすることで成り立っています。 しかし、何もないところからエネルギーを作り出すことはできないし、今あるエネルギーを消してしまうこともできません。 車を動かせばガソリンは「消費」されますが、これはガソリンに含まれていた「化学的エネルギー」が熱に変化しただけです。 その熱は、排気ガスやラジエータ、ブレーキなどを通して外部に捨てています。 要するに、人間の都合で、我々が便利に使えるエネルギーが我々が扱いにくい形に変化したことを「消費」と呼んでいるだけで、エネルギーの量が減ったわけではないのです。(もちろん、我々にとっては都合悪いわけですが・・・)

 このように、その形態が変化したり、存在する場所が移動したりしても、量の合計が変化しないことを「エネルギーが保存する」と言います。 エネルギーの量は変化しないということがエネルギーの基本的な性質なのです。

 しかし、我々はもっと高い要求を持っていますから、我々の生活を守るために、「エネルギーを我々が使いやすく、我々にとって害を与えにくい形にしておきたい」と考えます。 これが「省エネルギー」です。 エネルギーは保存するが、我々は量さえ変化しなければいいのではなく、使いやすく、便利なエネルギーがほしいということなのです。

次に、エネルギーと仕事の関係を見てみましょう。


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これはWWW利用の実験のため神川 定久 が作成したものです。

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